池上永一さんの「統ばる島」を読んで、楽しみながら八重山の文化、伝説を知る

medium_3833798013
photo credit: nakimusi via photopin cc

竹富島に行くと決めたら、どんどん竹富島や八重山諸島について興味が湧いてきたので、図書館で関連する本を探してみました。
地理学的な本屋、旅行関係、紀行ものが多い中で、小説が検索でヒットしたので読んでみました。
池上永一さんの「統ばる島」です。

池上永一さんといえば、琉球王国を舞台とした小説「テンペスト」が有名ですが、こちらの「統ばる島」も大変おもしろく読めました。

「統ばる島」は八重山諸島を舞台にした連作短編です。あまり細かく書いてしまうとネタバレになるのでよろしくありませんが、とにかく、最初から掲載順の通りに読み進めるのがオススメです。

幸い、竹富島は第1編ですから、最初に読み、他の島のことは興味が湧く順に読んだのですが、最後まで読んでみて、「アタマから順に読んだほうが良かったな」と思いました。

今回読み始めた目的はそもそも竹富島に関する情報を得るためでしたが、その他の島についても地図を見るだけではわからないようなこと、すなわち伝統や文化について詳細に取材されていると感じ、竹富島以外の島々にもいつかは訪れたいと思わずにはいられません。

竹富島は、「女は踊り狂い、男は狂言を舞う島」として描かれています。

竹富島では年に何回も神に捧げるお祭りがあります。
その中でも最大のイベント「種子取祭(タナドゥイ)」をテーマに、思春期の少年と少女独特の感情、竹富島の伝統や習わしを巧みに織り交ぜて、現代小説に仕上げてるあたり、池上氏の手腕に感心します。

冒頭から、非現実的というか、ロールプレイングゲームのような展開はあっという間に竹富島の世界に引き込まれます。
以下は、若干ネタバレ感がありますので、読んでみようという方は読まないほうがいいかもしれません。
核心には触れずに、ざっとあらすじをご紹介します。

年間でも最大の祭りであり最重要行事である種子取り祭(タナドゥイ)。
今年、神に奉納する舞踊・狂言を演ずるよう選ばれし者は、まだ幼さ残る中学生の少年、少女。
しかも演ずべき演目は、数十年この祭りにたずさわりその道の達人と呼ばれる者達も恐れをなす難易度を誇る演目だという。
それを、未熟過ぎる少年たちが、わずかな期間で神に捧げられるレベルの技術を身に付けられるわけもない。
六賢老女たちをはじめとする島の大人たちは半ばあきらめ、嘆きはじめるが、ある事件をきっかけに、2人は演者としてのオーラを纏い始める…。

少年ジャンプのバトル物のようなわかりやすさが、読んでいて単純明快、純粋なエンターテイメントとして楽しめ、ストーリーにちりばめられた竹富島や八重山諸島の風俗が、奥行きや彩りを補っています。

実際竹富島に行ったならば、種子取り祭の舞台となる御嶽(うたき)は必ず訪れ、この小説の舞台を肌で感じ、物語に思いを馳せてみたいと思います。